2011年7月21日木曜日

Mint.comのモデルと成功要因

家庭・個人用ファイナンス管理サイトを無料で提供する Mint.com (ミント・ドットコム) は現在アメリカで最も成長をしているベンチャー企業の一つです。

Mint.comの最大の特徴はサービスを利用することにより毎月の固定電話代、携帯電話代、家賃、電気代、交通費、交際費、クレジットカード使用料などの各種料金、あるいは株や投資信託などの投資関連情報、そして家、車、教育などの各種ローンなどの情報をインターネット上で一元管理でき、自宅のPC、または外出先の携帯端末等から確認できるといった利便性にあります。





ユーザーは月、年単位での予算、出費傾向をカテゴリー分けされた、かつユーザーフレンドリーなグラフ等などで把握でき、数十年単位の長期期間を見越した効果的なマネーライフを送ることが可能となります。

加えてMint.comのアプリケーションではユーザーの性別、年齢、収入、家族構成、過去の出費傾向、職業などからそれぞれのユーザーに適した銀行、証券会社、クレジットカード会社を紹介したり、または銀行預金残高やクレジットカードの使用状況を知らせる情報を定期的に配信したり、あるいは各ユーザーに適した株や投資信託などの投資情報、そしてその運用ノウハウに関する情報の提供など、複雑かつ非常に重要な家計簿管理、資産管理などを包括的にサポートする画期的な仕組みとなっております。

一見ありがちなサービスと思われますが、ここまで充実し、しかも人々の生活シーンに浸透しているサービスはアメリカではないと言うことですし、日本でもありそうでいて実際はあまりないと言ったところでしょうか。



他社サービスとの差別化ポイントは高機能なサービスの提供に加え、それらのサービスを無料で享受できる点です。主な収益源はユーザーが当サービス経由で開設する各種金融機関口座の成功報酬などです。無料サイトを提供することにより、会員数獲得の間口を広げ、その分相当分の成功報酬が期待できる収益モデルとなっており、この安定した収益源が充実したアプリケーションへと直接反映される形となっております。昨今の世界的な不況のあおりを受け全世界的に節約志向が強まる中、当サービスへの需要は増加傾向にあり2010年の売り上げは約215億円、2011年は約16%の成長が見込まれております。

いかにもファイナンス大国アメリカ発のアイデアといった感じが致しますが、同社が事業を開始した2007年時点では同様のモデルを展開する企業は相当数存在していたと考えられております。ではなぜその様な状況からMint.comがこれ程まで伸びて来たかというと、創業者のアーロンパッツァー氏の資金調達、チームマネジメント、マーケティングなどにおける手腕であると考えられております。

ベンチャー企業の成長過程において独自、業界初、そして世の中で必要とされるアイデアを考え出すことは非常に重要な要素ではありますが、実はそれ以上に重要になるのは創業者がいかにそのアイデアを大きく育てるために必要とされる有能な人材を収集する能力があるかであったり、資金調達に必要とされる信頼・実績を持ち合わせているかであったり、また創業者の志、アイデアなりを各種メディアを利用し効果的にマーケティングできるかといった要素であると言われております。

つまり、雪だるまが雪の坂を転げ落ちる時に他の雪を吸収しながら大きくなる様に、ベンチャー企業にもその成長過程において様々な個人、組織を巻き込みながら企業体として拡大する能力があるか否かが重要になると言われております。

特にベンチャー先進国のアメリカでは一見革新的なアイデアではあるものの、似たようなアイデアは広大な国土に星の数程存在していると言われており、いかにそれらを孵化させるかが勝負の分かれ目であると言われております。

この点Mint.comの創業者であるアーロンパッツァー氏はBtoC型の家庭・個人用ファイナンス管理サイトという広大なマーケットの存在に着目した発想もさることながら、そのアイデアを収益性の高いビジネスとして軌道に乗せることに大変長けていた人物であったと考えられております。

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